街道をゆく〈31〉愛蘭土紀行 2 (朝日文芸文庫)



街道をゆく〈31〉愛蘭土紀行 2 (朝日文芸文庫)
街道をゆく〈31〉愛蘭土紀行 2 (朝日文芸文庫)

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妖精の国にしばしの夢が見れる1冊です

アイルランドを旅するシリーズの2巻目。前巻では、アイルランドに大きな影響を及ぼした英国との対比でアイルランドが描かれたのですが、この巻より、いよいよ、アイルランドに上陸しての紀行になります。
司馬氏の場合、その国なり地域を規定しての紀行もしばしば見受けられますが、この本では、妖精の国に見立てた記述が多くなっています。妖精の国に見立てて語られるエピソードの数々は、こちらまで、本当に妖精が住んでいるかのような不可思議な国に迷い込んだような錯覚を覚え、陶酔に浸ります。ただ、他のレビュアーも指摘しているように、やや長いかなと思わせる所もあり、その夢見心地から覚めたとき、少々、現実に引き戻されるのも確か。
ただ、暫しの夢心地を味わうことができる不思議な魅力を持った1冊ではあります。

文学の旅を通じたアイルランド史の入門書

上下巻の下巻。ダブリンに着いた後、西岸ゴールウェイまで向かい、南下して再びダブリンまで戻ってきます。そこで出くわす様々な出来事にアイルランドの反英の国、移民の国、妖精の国としてのアイデンティティを随所に感じます。著者本人も認める通り、今回の旅は歴史の旅というよりむしろ文学の旅になってますが、貴重なアイルランド文学入門になっていますし、アイルランド史もポイントを押さえてますので、アイルランド史の入門書としても面白く読めると思います。
ジョンフォードを通じて

司馬さんは、映画監督ジョンフォードが造詣した数々の男性キャラクター(『静かなる男』も含まれます)を通し、アイルランド人気質を、依怙地さ、孤独、病的なほどの目的主義、自己への信仰、他との不調和、勝利への確固たる幻想、無名性と反俗、さらには神話的な英雄性と見通しています。卓見であると思います。
必然の続編か?

続編。前編にくらべ、アイルランド中心の記述になっている。文学、芸術を中心にゆかりの地を訪れる。アイルランドの魅力は伝わるが、同じような記述が多く、飽きてくる。わざわざ二分冊にしなければならないようなものでもなさそう。現地案内人の態度が気に入らなかったらしいが、そんなことを書いてもらってもあまり読む気がしなくなるだけだと思う。



朝日新聞
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